田嶋会長NHK出演コメント_20180415

2018年4月15日、日本サッカー協会会長田嶋幸三氏がNHK番組「Sunday Sports」に出演。

サッカー日本代表前監督であるハリルホジッチ監督を解任した経緯について語りました。

これはその模様をテキストアーカイブとして残すべく文字起こししたものになります。

 

大越アナ:田嶋会長、今日はよろしくお願いします。この番組への生出演のオファーを快諾していただきました。伝えたかった事というのは何ですか?
 
田嶋会長:やはり次、私達がそのW杯へ向かう姿勢、そして本当に言い足りなかった事、それをしっかり伝えたいなと思ってここに出させてもらいました。
 
大越アナ:言い足りなかった事というのは、やはりこれまでの経緯も含めてという事ですか?
 
田嶋会長:そうですね、もちろん詳しく全部言えるものではないと思いますが、誤解があったり、それから、やはりこの事は皆さんにお伝えしておいた方がいいんじゃないかという事は今日言えたらと思っています。
 
副島アナ:ではまずハリルホジッチ監督が就任してからの主な出来事を振り返ってみます。
こちらです。※ここでフリップボードを取り出す※

去年8月にW杯出場を決めてから、11月のヨーロッパ遠征2試合が連敗、そして先月の遠征も、W杯に出場しないマリ、そしてウクライナに勝てず契約解除に至りました。
その理由についてなんですけれども田嶋さん、月曜日の会見でまず信頼関係が薄れてきたと述べています。田嶋さん、チームはどういう状況だったんでしょうか?
 
田嶋会長:試合に勝った負けただけで監督の契約を解除する、そういう事だけでは考えていませんでした。
その信頼関係が薄れる、コミュニケーションが薄れてくる、そういうものっていうのは、そのチームを強くするための土台です。その土台が薄れてきてしまった事、これが一番の要因でこれさえしっかりと、あの、あれば仮に負けたとしても新しい戦術や新しいシステムを対応する事が出来ると思いますが、残念ながらその信頼関係が薄れてきたって事を、一番の理由にした、した、、、あのみなさんに説明しました。
 
大越アナ:その信頼関係という事、コミュニケーションという事も仰っていましたよね。その決断の大きな岐路になったのが、決定的になったのが先月ですね。欧州遠征で格下であるマリ、そしてウクライナに勝てなかった。
 
田嶋会長:あのー、あの、試合のその結果というよりは、内容だとか選手たちの気持ち、望む気持ちそういうものを、我々は汲んでこの結果に陥りました。
でも、あのー、この結果だけではなくて、もうこれは去年からあのー、ずっと我々あのー、色々ディスカッションをしていました。
 
大越アナ:それは信頼関係が薄いという事、コミュニケーションが足りないという事を問題を早くから気付いていたという事?
 
田嶋会長:それだけではなくて、それをもっと良くしてハリルホジッチ監督をサポートしようという事で我々はずっとやっていたんです。
で、今回自分が色々選手からも話を聞いて気付いた事は、選手達は自分が出れないから、何かその、監督を代えてくれなんていう選手は一人もいない。日本のサッカーを、本当にみんな考えているんだというのがある、もう本当にわかってそれがすごく嬉しかったし、スタッフも監督と実際に話したりしていました。

そして西野技術委員長もサポートする立場で、本当に、えー、ハリルホジッチさんと話し、そして色々変えてもらえるような事を言ってきたのも事実です。
ただ今回3月のところで我々は何とかそれをひっくり返すというか、段々こういうバランスが崩れてきたのを何とかまた元に戻したいと思っていたものが、、、残念ながらもっと悪くなってしまったという事、ですね。それでこの、、契約解除という事に至ったというところです。
 
大越アナ:そのもっと悪くなったという事ですが、もう引き返せないところまで関係がよろしくない状態になったという事でいいですか?
 
田嶋会長:そうですね。だからこそこの決断をくだしたという事です。
 
大越アナ:ハリルホジッチ体制をみんなで支える、ギリギリまでの努力それをやった結果として、本大会の2ヶ月前という段階まで入ってしまったという…
 
田嶋会長:そうなんです、で、このタイミングになったからこそ、もうこのタイミングでは実際に中にいた西野技術委員長、手倉森監・・コーチ、この2人が本当に協力してやるしかないという事で、えー、この人事に至りました。
 
大越アナ:あの非常に苦しい決断、伝える側も契約解除を受ける側も辛かった。パリのホテルの会合というのは非常に緊張した会合ではなかったですか?
 
田嶋会長:はい、あの私自身もハリルホジッチ監督をサポートしてきたし、彼の素晴らしいところ、デュエルとかいうそういうものを日本に、
 
大越アナ:玉際の強さですよね?
 
田嶋会長:ええ。玉際の強さをそういう言葉をちょっ、使って伝えてくれた。そして実際にW杯の切符を手に、あの我々が掴む事が出来た、それはもう彼の功績でもあるし、彼の事は僕ら評価しています。ただその時間とともに様々なものがこう少し狂ってきたのを、我々も努力をしていた、したけれどもスタッフも努力したし、フランス人のコーチ達も努力はしたけれども、それがなかなか埋まらなかったというのが現実です。
 
大越アナ:なるほど努力、選手の側もして来た。だけれども決裂に至ったという辛さをですね、感じさせる槙野智章選手のInstagramがあるんですけれども…VTR出るでしょうか。こちらですね。赤線を引いたところ

 

- 槙野選手Instagram

たくさん怒られました。たくさん褒められました。彼のおかげでたくさん成長出来ました。

 

大越アナ:非常に厳しい性格の監督でいらっしゃった。しかしそれに付いて行こうと努力をした、学んだ事も多かった。非常に辛い、残念な気持ちが表れていますよね。どんな言葉をかけてやりたいですか?
 
田嶋会長:あのー、槙野選手に限らずどの選手もやはりハリルホジッチ監督をリスペクトしていたし、今でも彼に感謝してほしいと思います。
ただ選手達がウクライナ戦のところでしっかりとミーティングをしてくれた事、その試合の中で選手たちがどういう気持ちで臨んだかという事は、たぶん選手たちが一番わかっているという風に思います。
えー、ただそれを誰がどう言ったとかという事を今言うつもりも一切ないですし、私達は、えー、その選手達がもっと素晴らしいプレーが出来るように次のステップを踏まなければいけないという風に思っています。
 
大越司会:ギリギリの一歩だったという事ですね?
 
田嶋会長:はい。
 
大越アナ:じゃあこれからのやはり話を聞きましょうか、これからのね。


副島アナ:そうですね。


大越アナ:はい。


副島アナ:ハリルホジッチ監督に代わって就任したのが西野明監督です。
 
西野監督紹介VTR -
 
副島アナ:ハリルホジッチ監督体制のもとでこの西野監督、技術員長として代表強化の責任を負う立場だった訳ですけれども、西野新監督は選手からの信頼は厚いという事でいいんでしょうか?
 
田嶋会長:はい。あのまず西野技術委員長が最後までハリルホジッチ監督をサポートし続けてくれた事、えー、こういう事っていうのはやはり一番あの選手からの信頼、我々からの信頼も厚いです。ともすると逆に反対する立場になったり足を引っ張ったりする可能性だってある訳ですけれども、
 
大越アナ:やろうと思えばありますね。
 
田嶋会長:えー、彼はそれをせずに、本当に最後まで、えー、ハリルホジッチ体制をサポートしようと努力してくれました。
 
大越アナ:さっきVTRでもブラジルに勝った時、アトランタの時ですね。守りを固めて少ないチャンスを生かした。
だけれどもそのガンバ大阪の時はとにかく攻めダルマのように攻める。色んな多彩な顔を持ってらっしゃる方だと思うんですが。
 
田嶋会長:あの、柔軟に何事にも取り組んでくださいますし、あのあまりこう口数多くべらべらしゃべる方ではありませんが、芯をしっかりと持ってチームを作ってくれる方だと思っています。
 
副島アナ:選手もそういったところは認めているという?
 
田嶋会長:あの、何人かの選手は実際にやっている選手ですから、わかっている選手もいると思います。
 
副島アナ:その西野監督ですけれども、会見ではこのように話しています。
 
- 西野監督会見VTR -
 
大越アナ:ここでポイントになる事は日本化したフットボールという言葉があるんですよね。
ちょっとこれ意地悪な質問かもしれません。
ハリルホジッチ監督を呼んだのは、日本化を脱皮して、縦に早く当たりの強いサッカーをしようという、その劇薬として入れた訳ですよね?
ところがその日本化したフットボールというと、意地悪な取り方をすると2014年勝てなかった、パスを大事し連携を大事にするサッカー、そこにただ戻るだけではないかっていう見方は出来ませんか?
 
田嶋会長:あのサッカー、世界のサッカーってどんどんどんどん進んでいます。で、もちろんボールポゼッション、ボールをしっかりとキープする事。そして縦に早く、これ両方をやはりもっ、持ち合わせいなければいけない。で、なおかつ日本はアジアの中では我々が主導的にプレー出来る訳ですけれども、残念ながらコロンビア、セネガルポーランドこれは我々の格上です。我々のやりたいサッカーが出来るかどうかこれはわからない。
えー、そういう意味では西野監督がそれをそれぞれのチームに対してどういう風に戦うか、どのようにチームを作っていくかという事。

ただ我々の一番優れているところというのはコレクティブ、組織力であったりそういうものを消さずに、そしてハリル監、ハリルホジッチ監督の言っていたデュエルだとかそういうものも、やはり積み上げたものをしっかりと守って、よりそれをバージョン化、バージョンアップする、それが日本化だと僕は、あの感じました。もちろんこれから彼がどのようにチームを作っていくかというのを僕らはフルにサポートしていきたいと思っています。
 
大越アナ:やっぱり今までの積み重ね。組織力、日本伝来の日本がずっと大事にしてきたサッカーに、ハリルホジッチ監督が持ち込んできた要素をMIXして、その上に西野さんの信頼のもとで戦うとこういうスタイルですね?
 
田嶋会長:そうあるべきだと思いますし、そして我々あのチームビハインドザチーム、ようするに、えー、メディカルであるとかコンディショニングであるとか、スカウティングだとか、これは僕は日本は非常に素晴らしいものを構築してきたと思っています。
それもしっかりと後ろからバックアップ出来る体制を整え本当に今まで以上、もしくは100%自分、日本の力が出せるような、えー、そういうチームを我々は作って臨みたいと思います。
 
大越アナ:2ヶ月、ですけれども可能でしょうか?
 
田嶋会長:実際には3週間かもしれません。選手が実際に集まるのは。

でもそれをやるしかない、今それくらいの危機的状況の中で我々も危機感を持って、選手達もそれに合わせて、来てくれるという風に思っています。
 
大越アナ:田嶋さん、よくオールジャパンという言葉を使われますよね?今回スタッフを見ても例えば手倉森さんをコーチにして、そして森保さんもそうですね。21才以下の日本代表監督。そして関塚さん、こちらもオリンピックを経験してますが技術委員長に今度招聘されました。ここら辺やっぱりオールジャパンという事の意味を体言しているんでしょうか?
 
田嶋会長:そうですね。あのー、それぞれが皆世界大会を経験しています。そしてもちろんこのロシア、そしてそのポストロシア、東京オリンピック、様々なものを見据えた上での僕は人事だったんじゃないかと思っています。
 
大越アナ:なるほど。ショック療法だったと思います。監督の交代というのはですね。それを乗り越えて次に選手たちがプレーする姿を我々が見る機会というのが、5月30日という事なんですが、
 
田嶋会長:はい、ガーナ戦になります。
 
大越アナ:代表はこのガーナ戦、5月30日の後に決まるという?
 
田嶋会長:はい、あのー日程、あのー、選手発表の日程は多少ちょっとこれから、あのー、みんなで議論はしますけれども基本的にはそのラインになると思います。
 
大越アナ:なるほど。あのオールジャパンというのは私達ファン、サポーターの人達も含めてのきっとオールジャパンだと思うんですよね。
 
田嶋会長:仰るとおりです。本当に、あのー、日本の多くのみなさまに応援していただきたいという風に思っていますし、私達もそういう気持ちで、一緒にチームを作っていきたいという風に思います。
 
大越アナ:まさに背水の陣で臨む。ファンのみなさんも力を合わせてくれ、貸してくれという気持ちですか?
 
田嶋会長:まさにあのー、そう願っ、お願いしたいと思います。そしてこういう時こそ僕ら日本が力を出せるんじゃないかと思っています。
 
大越アナ:そうですね。土壇場、土俵際の力というものが上手く作用するといいなという風に思いますね。


副島アナ:そうですね。選手に今の思いを聞いていますのでご覧ください。
 
- 長谷部選手VTR -
「それぞれ個々の選手が所属チームでしっかりしたパフォーマンスをしていく、それが今出来る事なんじゃないかなと思いますけれど。」
 
- 吉田選手VTR -
「自分達が日本を背負って変えてかなきゃいけない、監督が代わったからじゃあ西野さんに丸投げするんじゃなくて今までいた選手、W杯を経験した選手たちがより引っ張っていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
 監督と協会とその他のスタッフと一丸となってやるべきだと思うし、みんなが足を引っ張り合うんじゃなくて前を向いて、同じ方向に進んでいく事が大事だと思います。」
 
大越アナ:自分の責任という強い決意だと思うんですが、日本ランキング残念ながら今60位、いずれも予選リーグで戦う相手は格上という事になります。
この2ヶ月後のW杯、日本代表のこれからも見据えた中でどういう位置付けの大会になると思いますか?
 
田嶋会長:やはり初戦をどう戦うかという事、そしてこのロシアでのその成績、もちろん勝てば一番うれ、あのいいですし日本が本当に全力を出して戦いきったという、そういう姿をみなさんにお見、お見せしたいという風に思います。
 
大越アナ:具体的に何勝とかベストいくつとかそういう事ではなく?
 
田嶋会長:まず予選突破というのはもう大きな目標ですし、今まで以上の成績っていうのは今、あのこれまでと変わりません。
 
大越アナ:はい。健闘を期待しております。今日は有り難うございました。
 
田嶋会長:有り難うございます。
 
副島アナ:有り難うございました。